当協会の取り組み

苦情件数統計 探偵業社の消費者トラブルゼロへ

日調協苦情処理件数調集計結果(平成28年度4~9月)

▽独立行政法人 国民生活センター 抜粋記事
[2016年10月28日:更新]

興信所

PIO-NETに寄せられた相談件数の推移

 

▽平成28年12月15日報道発表資料 独立行政法人国民生活センター

「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!

全国の消費生活センター等には「アダルトサイトを見ようとしたら、突然『登録完了』等の画面が表示され、高額な料金を請求された・支払ってしまった」などアダルトサイトに関する相談が多く寄せられています。こうしたトラブルを解決しようと消費者がインターネットで相談先や解決方法を検索し、「無料相談」「返金可能」をうたう窓口に相談したところ、実際には探偵業者に「アダルトサイト業者の調査」を数万円で依頼しており、アダルトサイト業者からの返金もなかった、といった相談が急増しています。
PIO-NET2によると、こうした相談は、2014年度以降急増しており、2015年度の相談件数(4,543件)は 2011年度(205件)の20倍以上に増えており、2016年度は2015年度を上回るペースで相談が寄せられています(図1)。そこで、最近の相談事例やアドバイスをまとめ、消費者への注意喚起を行います。

1.相談事例

【事例1】「無料相談」「解決可能」のはずが、有料の企業調査だった

スマートフォンを触っていたら、アダルトサイトに登録となり15万円を請求された。アダルトサイト業者に「支払いたくない」と電話したが拒否されたので、インターネットで検索した「無料相談可能」という窓口に電話で相談した。電話に出た男性からは「支払いを止められる」「絶対に解決できる」と言われた。また「このままだと会社に嫌がらせがある」「裁判にもなる」とも言われ不安になり、依頼することにした。自宅にFAXがないので、コンビニのFAXで契約書を受け取った。携帯電話で簡単な説明を受け、急かされながら契約書に住所と氏名を記載し、母印を押してFAXで返信した。無料と思っていたが、料金は64,000円とのことだった。「お金がない」と伝えたところ、先に半額だけでも支払うように言われ、コンビニのATMから送金した。4日後にビルの写真2枚と、アダルトサイト業者自体の確認は取れなかったとの報告書が届いた。あらためて契約書を読むと、依頼した内容が「企業調査」だと知った。解決できると言われて契約したのに、説明と違うので返金してほしい。
(受付年月:2016年4月、契約当事者:20歳代女性・北海道)

【事例2】「100%解決する」と言われ依頼した先が「消費者センター」ではなく探偵業者だった

スマートフォンに着信があったので折り返し電話をすると、男性が電話に出て「未納のサイト利用料金がある」「確認するので、名前と電話番号を教えてください」と言われたので伝えた。すると「未納料金は7,000円だが、今はもう料金の問題ではなく、法的措置に移るところ」と言われ驚いた。以前アダルトサイトを見て登録画面が表示されたが無視したことがあり、そのことで訴えられるのかと思った。慌ててインターネットで「消費者センター」を検索し、検索結果に表示された無料ダイヤルの窓口に電話をした。事情を伝えると「相手に名前も伝えているのでまずいが、100%解決する」「契約書を FAXするが、自宅にFAXがなければコンビニに行ってください」と言われた。早くしないと訴えられると思い、急いでコンビニに行き、FAXで書類を受け取り、電話で言われるがまま氏名等を記入し、その場でFAX返信した。代金の86,400円はすぐに指定された銀行口座に振り込んだ。その後で、インターネットでその窓口について検索したところ、依頼したのは消費者センターではなく、探偵業者だと分かった。必要のない依頼だったのなら、キャンセルしたい。
(受付年月:2016年7月、契約当事者:20歳代男性・千葉県)

【事例3】「高額な請求がある」「個人情報が流出する」と言われ不安になり、焦って依頼した

パソコンでアダルトサイトを見ていたら、突然IDとパスワードが記載された登録画面が表示された。心配になって、インターネットで「消費生活センター」を調べ、電話で問い合わせたところ「そのままにしておくと、メールや電話、信書で請求が来る」「そのサイトには弁護士がついていて、10万~20万円を請求される」「サイトを閲覧したことでウイルスに感染しているので、個人情報が流出する」「不当請求であることを証明すれば請求されないが、まずは調査をしなくてはならない」などと言われた。依頼料は54,000円とのことだった。焦っていたので依頼をすることにし、氏名、電話、住所を伝えると「3日以内に書類が届く」「ウイルスに感染しているので、当分ネットは使わない方がよい」と言われ、最後に社名を伝えられた。公的な消費生活センターに相談したつもりだったので、依頼料が発生するのはおかしいと思い、聞いた社名をインターネットで検索すると探偵業者であることが分かった。依頼を取り下げることはできるか。
(受付年月:2016年8月、契約当事者:30歳代女性・愛媛県)

【事例4】消費生活センターか」と尋ねたところ「公安委員会に届出している」と言われた

以前、アダルトサイトのトラブルに遭い、消費生活センターに相談し解決したことがある。先日、覚えのない電話番号から電話がかかってきたので出たところ、以前のアダルトサイト業者だった。「契約について話をしたい」と言われたので「契約していない」と言うと、「内容証明で裁判所から督促状が届くだろう」と言われた。その後も度々電話がかかってくるので、インターネットで「消費者センター」を調べ、電話した。今までの経緯を話したところ「アダルトサイトからの請求には応じないように」「解決するには5万~7万円かかる」と言われた。お金がかかるのはおかしいと思い「消費生活センターですか」と尋ねると、「公安委員会に届出をしているのでご安心ください」とのことだった。あやしいと思い電話を切ったが、先ほどの相談先に名前と電話番号を知られてしまっている。大丈夫だろうか。
(受付年月:2016年10月、契約当事者:60歳代男性・東京都)

【事例5】依頼した1時間後にキャンセルを申し出たら、高額な解約手数料を請求された

タブレットで、インターネット上の広告からアダルトサイトに入ったが、再生ボタンを押しただけで登録となり、99,000円を請求された。アダルトサイト業者に慌てて電話をかけたが、キャンセルできないと言われた。ネットで相談窓口を調べ、見つけた民間の相談窓口に電話で相談し、勧められて調査の契約をした。「アダルトサイト業者に対しては何もするな」と言われたことは覚えているが、何のために調査をするのかなどは覚えていない。契約書がFAXで送られてきて、言われたまま記載してFAXで返信した。しかし、調査を依頼する必要があったのか疑問に思い、その1時間ほど後にキャンセルを申し出たところ、契約書どおりに解約手数料として依頼料(約92,000円)の50%(約46,000円)を支払うよう言われた。
(受付年月:2016年8月、契約当事者:20歳代女性・長野県)

 

2.相談事例からみる問題点

アダルトサイトのトラブルにあった消費者が、インターネットで相談先や解決方法を検索し、その検索結果から探偵業者とは思わずにホームページへのアクセスや電話をして契約をし、探偵業者とのトラブルになっています。相談事例からみる問題点は以下のとおりです。

(1)「調査」であることを説明せず、契約すれば請求が止まる

返金されると誤解させている探偵業者が実際に行う業務は、アダルトサイト業者の所在地やIPアドレスなどサイトに関する情報の調査です。しかし、探偵業者はそのことを消費者に説明せず、「トラブルを解決する」「請求が来ないようにする」「十分に返金が可能」など、あたかもアダルトサイト業者からの請求を止めたり、返金させたりできるような説明をし、消費者を誤解させ調査の契約をさせています。契約書には契約内容について「○○(アダルトサイト業者名)の調査」などと記載されていますが、探偵業者は契約書の内容について十分な説明をせず、消費者に急がせて署名捺印なついんをさせているため、消費者は契約内容が調査であることを認識していません。また、「調査」と言葉では認識している場合でも、探偵業者の説明によって、調査をすることで請求が止まる、返金してもらえると消費者は誤解しています。なお、探偵業者が弁護士等の資格なく、返金交渉やその旨の表示・説明をすることは、弁護士法等の法律に違反する可能性があります。

(2)調査の結果は、アダルトサイトのトラブルの解決に必ずしも役立つものではない

探偵業者は調査後に調査結果報告書等を消費者に送付しています。その内容は、・「アダルトサイト業者の所在地を訪問したが、事務所の確認はできなかった」「張り込み調査を実施したが、アダルトサイト業者の人間の特定はできなかった」「聞き込み調査を実施したが、アダルトサイト業者の存在を知る人はいなかった」等と記載された書面・所在地の住所表記や建物の外観などの写真アダルトサイトのIPアドレスやサーバーの位置情報等が記載された書面などです。消費者は「アダルトサイト業者からの請求を止めたい」「支払ったお金を取り戻したい」と思って探偵業者と契約していますが、こうした調査結果は消費者が期待していた内容ではなく、また、返金などアダルトサイトのトラブルの解決に必ずしも役立つものではありません。

(3)自治体の消費生活センターに類似した名称を名乗り、連絡をさせている

探偵業者はインターネット上の広告やホームページで「被害解決」等と表示し、自治体が設置行している消費生活センターや消費者センター、消費生活相談窓口等に類似した名称(「消費者○×センター」「消費者○×相談窓口」等)を名乗っているため、消費者は自治体の消費生活センター等と勘違いし、探偵業者のホームページへのアクセスや電話をしています。また、探偵業者はホームページで「無料相談」と表示していることから、消費者は「すべて無料」と思って探偵業者に連絡をしています。契約時に社名を伝えられたり、有料と説明されたりしてはじめて、自治体の消費生活センター等ではなく民間業者に連絡をしたことに気づく消費者もいますが、探偵業者に不安にさせられ、被害を早く回復したいという思いで依頼しているケースがみられます。

(4)「訴えられる」「個人情報が漏れる」など消費者を不安にさせ、契約させている

アダルトサイトのトラブルでは、アダルトサイト業者に連絡を取らないことが大切です。連絡を取ってアダルトサイト業者に名前や電話番号等が分かってしまったとしても、それ以上の個人情報が特定されることは通常ありません。しかし、探偵業者は「無視をしたらダメ」「アダルトサイト業者には弁護士がついているので、このままでは訴えられる」のほか、「いったんアクセスや電話をしているので、個人情報が漏れている」「アダルトサイト業者から家族や勤務先に連絡や請求がある」など実際にはないことを伝え、消費者を不安にさせています。また、「相手は悪質・違法サイトなので、早急に対応しないといけない」「他の相談先は弁護士しかいない。弁護士に依頼すると数十万円かかるが、うち(探偵業者)なら数万円でよい」などと説明し、消費者に契約させています。

(5)「警察と連携している」「個人情報を削除できる」など事実と異なる説明で信用させている

探偵業を営もうとする者は、都道府県公安委員会への届出が必要で、届出のあった都道府県公安委員会からは探偵業届出証明書とその番号(○○県公安委員会 第××号)が交付されます。探偵業者がこの探偵業届出証明書の番号を消費者に示し、「警察と連携して解決している」など事実ではない説明をしているケースもみられます。また、アダルトサイト業者に個人情報を伝えてしまって不安になっている消費者に「アダルトサイトのサーバにある個人情報を削除できる」など事実と異なる説明をし、契約させている例もあります。その他、「ウイルスに感染しているので、インターネットは数日間は使わない方がよい」などと説明し、消費者がインターネットで当該探偵業者の信用性や契約の必要性について調べさせないようにしているケースもみられます。

(6)キャンセルをすると、高額な解約料を請求する

探偵業者を不審に思ったり、依頼は不要と思った消費者が、依頼から数時間後や数日後(翌日など)にキャンセルを伝えると、探偵業者からは「すでに調査を開始している」「もう調査は終了した」などと主張されています。このとき、契約書では解約料について「着手前は依頼料の20%」「着手後は、既実施分は依頼料の100%、未実施分は50%」などと記載されていることから、消費者は調査が実施されていない部分についても高額な解約料を請求されています。また、調査結果に納得できず、依頼料を支払いたくないといった消費者もいますが、探偵業者からは全額を請求されています。

3.消費者へのアドバイス

(1)相談先が自治体の消費生活センター等かどうか、しっかり確認してから連絡しましょう。アダルトサイトのトラブルを解決したいと思い、相談先や解決方法をインターネットで検索し、検索結果を見て自治体の消費生活センター等に相談したつもりが、実際には探偵業者に連絡をしていたというケースが多くみられます。国民生活センターのホームページでは、全国の自治体の消費生活センター等の名称や連絡先(電話番号、受付時間等)を掲載しています(参考2)。相談先が自治体の消費生活センター等かどうか、しっかり確認してから連絡しましょう。

(2)アダルトサイトとのトラブル解決をうたう探偵業者への依頼は慎重に検討しましょう。
探偵業者が行うのは「調査」であり、弁護士等の資格がなければ返金交渉は行えません。探偵業者が都道府県公安委員会に届出をしていても、都道府県公安委員会がその探偵業者の信用性等を保証するものではありません。また、調査結果は、返金などアダルトサイトのトラブルの解決に必ずしも役立つものではありません。「トラブル解決」「返金可能」といった広告や説明をうのみにせず、自分の目的と照らし合わせて、探偵業者への依頼が必要かどうかを慎重に検討しましょう。

(3)お住まいの自治体の消費生活センター等に相談しましょう
「返金可能」などと説明されて契約した、探偵業者の調査結果に納得できない、解約したいが高額な解約料を請求されたなど、探偵業者とのトラブルはお住まいの自治体の消費生活センター等に相談しましょう。自治体の消費生活センター等では、消費者から相談を受け、助言や必要に応じてあっせんを無料で行っています(通信料、交通費等はご負担ください)。また、アダルトサイトのトラブルでは、アダルトサイト業者に慌てて「連絡しない」「お金を支払わない」ようにしましょう。どうしても不安な場合には、焦らず消費生活センター等に相談しましょう。

消費者ホットライン:「188(いやや!)」番 お住まいの地域の市区町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。

 

4.情報提供先

・消費者庁消費者政策課 ・内閣府消費者委員会事務局・警察庁生活安全局生活安全企画課
・一般社団法人日本調査業協会・全国調査業協同組合・特定非営利活動法人全国調査業協会連合会
・日本弁護士連合会