当協会の取り組み

平成28年熊本地震 義援金お礼報告

■熊本地震を経験して
平成28年4月14日21時26分 私たちは今まで経験した事が無い程の揺れに遭遇する事になります。その日(4月14日)午後9時ごろ帰宅し、マンション8階の自宅で玄関の扉を開けキッチンに立った直後、激しい揺れを感じ、同時に部屋の片隅に為す術もなく飛ばされてしまいました。目の前に食器棚が倒れ、すべての食器が粉々に飛び散り、気が付いた時にはガラスの破片で足を怪我していました。
マンションが停電する事は無かったのですが、非常ベルがあらゆる建物から鳴り響き、同時に着の身着のまま近隣の方々が玄関から飛び出してこられました。各家庭の給水タンクが倒壊し、マンションの階段には屋上に設置された大型のタンクからも大量の水が流れ出し、非常階段からは滝のように水が下層階へ流れ落ちています。
隣室の一人暮らしをしているおばあちゃんは、慌てた様子で私に助けを求められ、倒れた給水タンクを起こすように頼まれました。しかし、通路に倒れたタンクはビクともせず、安全を確保しながら、ご一緒に近所の避難所へと向かいました。
おばあちゃんを、小学校まで案内し終えた後、家族に電話を掛けようとしたのですが、携帯電話は「パンク状態」で使用することが出来ず、連絡が取れないまま、私は家族が既に避難していると思われる近所のショッピングセンター駐車場(家族には何かあった時はこの駐車場に集合するように以前話した事がある)へと向かいました。


(熊日新聞より転載)

移動中何度も強い余震に見舞われ、携帯からは「地震です」とけたたましいサイレンが常に鳴り響き、被害状況やその規模が全く分からないまま、家族の安否を気にかけながら歩いた距離が、すごく長く感じました。その後、家族と合流しそれぞれの無事を確認、親戚や身内の無事を確認し少しだけほっとした気持ちになったのですが、駐車場に停めている車から流れてくるニュースを見て愕然となりました。その後、熊本の加盟員当社を省く4社(現在熊本の加盟員は6社)への安否確認。また、私がライオンズクラブの幹事を務めていましたので、会員65名の安否確認を事前に準備した連絡網で行いました。一般の電話や携帯電話は、各県外からの電話が熊本に集中したため電話がかかりにくい状況が続き、連絡についてはSNSを利用したものになり、LINE、フェイスブックが役に立ちました。特に「ライン電話」での通話や、「ライングループ」での一斉送信を使用しての安否確認は容易に出来て助かります。そして、2日後平成28年4月16日午前1時25分さらに大きい地震が熊本を襲いました。この本震にて熊本はさらに深刻な被害をもたらす事になったのですが、1回目の地震で避難所生活をされていた方と、自宅で後片付け作業をされていた方とで、生死の明暗をハッキリ分ける結果となりました。
飲食店を経営している私の友人は、高級なボトル等が総て破損し、気持ちの切り替えが終わり一から頑張ろうと切り替えお店の後片付けをしていた時に、本震の被害を受け店が半壊状態になりました。また、マンションが倒壊し身体がかろうじて動くスペースから、壁を突き破り命からがら助かった友人もいます。震災時事務所や、ご自宅の事が気がかりでいらっしゃる方が多いと思うのですが、地震発生から数日は建物の中に入らない方がいいと思います。
お亡くなりになられた方で、本震の際、建物の下敷きになった方が沢山いらっしゃいます。
震災から3日間は物資が手に入らない環境にありますので、その間、安全や避難地の確保をする事に心掛ける必要があります。他県からの物資や、支援活動は3日後だと思われてください。
また、水は常に確保しにくい状況です。
空のタンクは準備し、地震後、安全が確保できる場合に限り断水になる前に給水することをお勧めいたします。また、水汲み場があれば空のポリタンク等をもって給水に行ける場所の下調べも必要です。


(熊本新聞より転載)

【大地震への備え】
● 室内でも裸足にならず、スリッパなどを使用する
● 常日頃から緊急避難場所を家族や知人と決めておく
● 3日分の食料や飲料水は確保して置く
● グループラインなどを作成し、緊急時は自分の身の安全を一斉送信する
● 車内生活が続く可能性があるので、ガソリンは予備を準備して置く
● 地震保険に加入(セットになっている家財保険には必ず入る)
● 棚などが倒れない様に固定する
● ポリタンクは身近な場所に保管
● 貴重品、救急用品はまとめて置く
● 車の中に布団やマットは常に入れて置く
● 非常時車のバッテリーや太陽光などで携帯を充電できるアイテムを常備する
● 簡易ガスコンロ、カセットガス、ライター


(熊本新聞より転載)

地震後、私たちの生活の中で変わった事があります。食器等の陶器は食器棚の低い位置に移動させ、割れにくい金属やプラスチック、コレール製の器を利用しています。また、少しの振動にも敏感になり、大型トラックが付近を走行したりするなど、少し地面が揺れるだけで、その時の事がフラッシュバックしゾッとすることがあります。そして、地震による被害は無かったものの、液状化現象で地盤沈下が進み、宅地として機能していない場所もあります。
こちらの写真は私が直接撮ったものですが、電柱に至っては1メートル以上地中に沈んでいました。


お互いに口に出して、当時の事を話す機会は少なくなってきたのですが、少なからず、心の中に当時の事は「とらうま」として熊本県民の心には深くあの時の恐怖が残っているものと思われます。今回の地震により、改めて自然災害への畏怖を強く感じ、自衛隊や消防、警察、赤十字、自治体、ボランティア団体などの支援が県外から多数寄せられた事に、この国の安全保障の現実を身にありがたくかつ頼もしく感じました。
そして、協会加盟員の皆様からの温かい物資や励ましのお言葉を頂いた事は、私たちの一生の心の支えとなり、その加盟員の一員であることに誇りを感じました。熊本のシンボルでもあります「熊本城」は、10年後の復興を目指し、阿蘇への立ち入りも、ようやく解除されました。
しかし、「阿蘇大橋」の崩落により、観光地である阿蘇へのルートは迂回を余儀なくされ、熊本城の完全復活には数十億の予算が必要であり、20年以上の年月が必要ともいわれています。
私も現在ライオンズクラブの地区役員を務めている為、熊本復興ボランティアには、積極的に参加し日々の活動に力を入れています。
8月にはライオンズ元国際会長、現LCIF理事長と共に熊本城の視察や、ボランティア団体の支援などに立ち合い、被災を経験した熊本の探偵として、全国の皆様からの温かい励ましのお言葉を元に、奉仕活動を頑張っていきたいと思います。
日本調査業協会加盟員の皆様方におかれましても、これからも変わらぬ復興への祈りをお寄せ頂きますように、よろしくお願いします。

※一部の写真は熊日新聞にて使用されたものを引用させて頂きました。

▽ご報告
お陰様をもちまして、多数の方々から心ある多額の義援金をいただきありがとうございました。平成28年12月29日(木)を以て、義援金募集は一度締めさせていただきました。
平成29年1月4日(水)一般社団法人 日本調査業協会を代表して、九州調査業協会の松本国隆会長が熊本県益城町役場を訪問し、益城町役場会計管理者課長の田中秀一様に、義援金をお渡ししましたことをご報告申し上げます。

▽益城町役場HP転載
全国の皆様、たくさんのご支援・ご声援ありがとうございます。
平成28年4月14日の災害直後から、国内外の皆様より義援金・寄付金・支援物資・ボランティア活動など多大なるご支援・ご声援をいただいております。これまでの皆様のご厚意に対しまして、深く感謝申し上げます。

<平成28年12月31日現在>
●義援金(被災の程度に応じて町民へ分配します)
11,219件 968,335,728円